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2026/7/6

【死への先駆的覚悟性】みんなで創ろうライナーノーツ完成!【神は僕を愛さない】

▪️神は僕を愛さない

 

◆20歳だった。
財布の中に全財産の3万円。
大きめのリュック一つ。
1ヶ月だけマンスリーマンションを契約して
田舎から東京へ出てきた。

当時探していた、生きる意味や真実や
渇望していた誰かと深く繋がりたい欲求。
東京へ行けば手に入る気がする。
というありふれた理由で。
自分の存在を証明したかった。

とにかく家を借りるお金を稼がねばと、
風俗なぞに身を置いた。
普通の金銭感覚を失いたくないと思い、コンビニのアルバイトの掛け持ちをした。

来る日も来る日も喉が苦く、最終電車を待つ駅のホームでcockroachを聴いて、なんとか飲み込んでいた。

家を借りるお金は1ヶ月で貯まった。
さて、契約に。と不動産屋を訪ねた。
馬鹿正直に職業欄を書いた私は、どの家も借りられなかった。
お金はあるし、真面目に働いているのにおかしな話だと思った。
後に上手い嘘で住まいは手に入ったのだけれど。

無理が祟ったのだろう。
年末の寒い夜、店で倒れ入院した。
信じる人もいない。信じられる真実もない。
人間嫌悪の中、独りで生きてやるなどと考えていた小娘だった故、
仕組みもわからず過剰請求された入院費を分割で支払う契約書にサインをし、
ひとりひっそり退院した足で、スーパーへ向かった。

4日間絶食していたせいだと思う。
牛歩の様な歩みだったのに目眩で歩けなくなって、人混みの中うずくまった。

薄く曇った真っ白な空に淡く眩しい太陽の光を見て思った。

あぁ、世界は私を必要としていない。
神様は私を見ていない。

悲しい真実を前に、真っ白な空はとてもきれいだった。
今でも鮮明に覚えている。

そんな昔話の記憶せいか、
真っ白な空の下、風が吹き荒れ、
髪が顔を掠め、神は僕を愛さないという真実を握りしめながら聴きました。
掌についた爪の跡が暫く残るくらいに。

 

◆途中の疾走感は無限マイナスの「盲目の老人は雨の降る日を知っている」を想起させるメロディライン。
この歌は生まれ変わりの瞬間を切り取ったものではないか。
生前生まれ変わってもまた来世で会うことを願っていた僕と君。
しかし新しい肉体に魂が宿るその瞬間、前世の記憶は無常にも消去されてしまう。
それは何億年もの時を、一枚の枯れ葉が落ちるまでのほんの短い時間で体験するような出来事だったのかもしれない。

 

◆従来のCOCK ROACHのアルバムのイメージを大きく塗り替えた一曲かと思う。
飾り気のない独唱からの始まりや爆走するメタルサウンドは、最終アルバムと銘打ちながらバンドに秘められた新たなる可能性・表現を力強く感じさせる。
またタイトルからは前作「Mother」で溢れていた「慈愛」とはかけ離れた印象を受ける。
祝福されない者、神に愛されなかった者の生き様を描いた曲というべきか。
一枚の枯葉のイメージは儚い運命を想起しがちだが、この曲では激しく舞い狂いまさに蜚蠊のようなしぶとさで生き狂う美しさを感じる。

 

◆鬼気迫る仁平さんの唄とスラッシュメタルのようなギターがたまらない曲。
前前前前前前世の記憶がフラッシュバックしていくような、情景が浮かんでくるような歌詞が鳥肌ものです。

 

◆この一曲だけにも遠藤仁平の生き様、芸術性の全てが唄声に込められているほどの歌唱に心を惹かれる。神を信じることも無ければ神に愛されることも無い。
「胎児頃の我ぶら下がり/臍の緒伝い受く真実の愛撫」

 

◆幕開けからハイライト。スラッシュメタルの如き刻みとツーバス連打が激しく心を掻き回す。COCK ROACHがここまで王道なメタルに傾倒するとは夢にも思わず、築き上げてきた世界観と融合し、鬼気迫るエネルギーを生み出す。