101号室

 

「音楽と薬物」

 

音楽に携わる人の違法薬物所持の発覚による逮捕が後を立たない。

シンガーソングライター、バンドマン、歌手、作曲家、クリエイター。

音楽やバンドをやっていると薬の現物を見る機会も多いし、実際に薬物をやっている人やその現場を目撃する事も多い。大胆な人になると楽屋でやっていたり、機材車の中やライブハウスのビルの非常階段とかでやっている。

「一緒にどうよ?」と誘われた事も一度や二度ではない。

私は今までたくさん薬物中毒者を見てきた。バンドマン全ての方がこのような周辺環境にあるかはわからないが、私が辿ってきたバンド歴の中のページをパラパラめくるとたくさんの方が違法薬物経験者であり、中毒者である。そしてその方達とバンドというひとつの共通目的の下、青春時代を共にした。

私は杓子定規に「薬物!絶対ダメ!」とか言っている人達を基本的に好きになれない。
そう言う人に「なんで違法薬物を所持、使用してはいけないか一言で答えて?」
と問うと「人に迷惑をかけるから」とか「廃人になるから」とか歯切れの悪い答えが返ってくる。
まあどちらも間違えでは無いと思うが「薬物使用者があなたに迷惑をかけた事ありますか?」と問うと黙り込む。「まわりに実際に廃人になった人はいますか?」これも黙り込む。

むしろ私のまわりでは薬物中毒者よりもアルコール、タバコ、ギャンブル、男女関係、暴力の方が人に迷惑を掛けたり廃人になってる率が明らかに高い。

マスコミやネットの情報を拾ったりネット世論の多数決だけで「ダメ!薬物!」と言っている人の人口が多いのなんのと。

私が同じ質問をされたら即答でこうだ。「何故ダメか?日本の法律だから」

日本に住むには日本の法律を守るべきであり、違法な事をすれば捕まるのも罰せられるのも当たり前である。

現代社会においては薬物が良いか悪いかの一人一人の倫理観、道徳観の下に世の中は動かない。
そんな事を一人一人に問うて、はい。そうですかではあなたの価値観でお好きにどうぞの世の中では無い。
人に迷惑を掛けるとか廃人になるとかの前に
「日本に住みたきゃ日本の法律守れ」と言いたい。

法律で罰せられる事があまり無い範囲の悪の芽になりそうな事。つまりアルコール、タバコ、ギャンブル、不倫や金銭問題、身近な暴力などに倫理観や道徳観は必要になる。

「法律では罰せられ無いけど、皆のモラルと道徳で守って生きよう」
「廃人にならない程度に摂取しよう」である。

日本ではすでに薬物を所持するイコール罪人なのである。

さらに私が一番嫌なのは罪人になりたくない、捕まりたくない故にステージ上で偉そうな事言っている人間が「隠れてコソコソ」薬物をやる点である。
大の大人がコソコソやるのは本当にみっともない。
隠れてやっておきながら「政府はマリファナの素晴らしい効能を解っちゃいない」とか得意顔で言われても何の説得力も無いのだ。
本気でそう思うなら国会議事堂前で一斗缶の中に大量のマリファナでも焚いて抗議すれば良い。

そしてさらにさらに一番嫌なのは逮捕された人間の謝罪である。
とって付けた様な反省文は中学生が先生に許しを求めているかの如し。
反省するなら猿でもできる。である。反省の心よりも世の中を舐めているのが陳腐な文章からも手にとる様に伝わってくる。

捕まってから己を振り返ってどうする。犯罪を犯している意識はあるのだから音楽辞めるか薬物辞めるかは捕まる前に決めておけ。
捕まって泣き寝入りするくらいなら、どうしても己の意思ですら止む事ができない性分なら、初めから自分に首輪でも付けておけと言いたい。

あくまでも私の経験談や考えの中で色々書かせていただいたが、私が薬物をやらない理由

① 日本の法律だから
② 格好悪いから

以上である。

2020年 2月16日 蜚蠊博士